ジブリが「ゲド戦記」監督は息子!

宮崎駿監督(64)の長男吾朗さん(38)を監督に起用し、米ファンタジーの名作「ゲド戦記」を長編アニメ化…(中略)… 吾朗さんは「三鷹の森ジブリ美術館」(東京都三鷹市)の館長を01年10月の開館時から今年6月まで務めていたが、アニメ製作に携わるのは初めて。…(中略)…映画は第3巻を基に、災いに覆われた世界を救おうとするゲドと、彼と共に旅する王子の成長を描く。[太字は引用者による]

「監督はアニメ製作*1に初めて携わる息子」と知ったときには「世襲かよ! ここは北朝鮮かよ!」といきり立ったが、某ページによればパパは大反対だったそうだ。そう鈴木敏夫が講演会の場で話していたとのこと。
しかし原作になるのは「ゲド戦記」は「ゲド戦記」でもあの大傑作、第一巻の「影との戦い影との戦い―ゲド戦記 1*2ではなく、箸にも棒にもかからない愚作、第三巻の「さいはての島へさいはての島へ―ゲド戦記 3だというのだから、全くもって何考えてるんだか…


…何だかヤな感じだ。邪な想像力が蠢き出す。ジブリと宮崎の名前を使って金儲けをしたいスポンサー・サイドが職人気質の現場を押さえつけるために息子を担ぎ出したのではあるまいかとか、「偉大なパパ」に「抑圧」され続けてきたジュニアも「やる気になればあなただって出来るんですよ!」という「悪魔のささやき」に抗することが出来なかったのではないかとか、今頃現場では怨嗟の声が声が上がっているのではないかとか、実は宮崎駿も「イヤよ、イヤよも、イイのうち」なので「世襲」に内心はまんざらでもなかったりするのではあるまいとか… いえ、別に何の裏付けもない単なる無責任な「三文小説的想像」なんですけどね… 宮崎駿という人は、アニメーターとしては間違いなく天才だけど、人間としては「人間くさい」というか、理性では抑制しきれない業というかドロドロした情念を暴走させて、結果として「えげつない」ことをやってしまいそうな人のような気がするんだけど…


《追記》
こんなところでジュニア本人が言い訳(?)しているぞ。私はジュニア本人がやってみたいと思うこと自体は非難できないとは思う。でも、それはものすごい茨の道だぞ。分かってるんだろうか? スポンサーサイドに立ってジュニアをそそのかしたのは、ひょっとして、鈴木敏夫なんだろうか? 彼だったら宮崎駿が最終的に折れるだろうと読み切れると思う…

《追記2》
はてなブックマークを眺めていたら、北朝鮮を引き合いに出して「アカはやっぱり世襲する」とまで書かれていたぞ。ほら、言った通り、やっぱり茨の道だろう…

*1:本当は「制作」というコトバを使うべき? 朝日の記事は「製作」というコトバを使っているが、これは嫌みなのか?

*2:ユング心理学の「教科書的展開」が多少鼻につくが、ル・グインなんて所詮「教科書的お説教」をする程度の能しかない作家だし、その所詮その程度の作家に望みうる最大級の傑作がこれだ、と私は思う。←ヤな言い方だけど、大昔、ル・グインが過大評価されていることに反撥していた、そのときの腹いせ。栗本慎一郎が今更のようにビートルズをけなしている(「パンツを脱いだサル」第5章「政治陰謀としてのビートルズ」)のと同じ心理。決してほめられたことではありませんね、ハイ。