西島大介に思う(「土曜日の実験室−詩と批評とあと何か」)

土曜日の実験室―詩と批評とあと何か (Infas books)

土曜日の実験室―詩と批評とあと何か (Infas books)

晦日西島大介を読んで過ごす。
期待していた通り「土曜日の実験室―詩と批評とあと何か (Infas books)」は面白かった。今まで読んだ彼の単行本(「凹村戦争凹村戦争(おうそんせんそう) (Jコレクション)世界の終わりの魔法使い世界の終わりの魔法使い (九龍COMICS)ディエンビエンフーディエンビエンフー (100%コミックス))の中で、普通の意味では「マンガ短編集」とは言えないこの作品(?)集が一番良い。特に前三分の一の部分に収められていた「マンガ」の部分。実際のところこれらは所謂「マンガ」ではなく、その本質において「批評」に他ならないのだけど、それがまた面白い。「絶対安全西尾維新」だの「世界の中心で、愛。SFとライトノベル以降をめぐる、きみとぼくの事情」とか、題名だけでもニヤリとさせられてしまうが、押井守「論」に至っては「いつも映画映画って… 同じ映画 何回見れば 気がすむっ茶!?」とラムがキレてしまうので思わず大爆笑。
真ん中の部分に収められたエッセイやインタビューもウケた。

「でも、前作『千と千尋の神隠し』を観てて本当に思ったんですけれど、宮崎駿自身はかなり揺れているんだと思います。引き裂かれそうになっている。<結局僕たちは児童ポルノを作っているんだ、誰かつっこんでくれ! いっそ逮捕してくれ!>という宮崎駿の心の叫びだとぼくは思いました。」
 −いや、でも少なくともジブリのアニメは、児童ポルノとして観られてはいないですね。
全ての仕事が売春なのだから、アニメもそうだと思います。…(中略)…政府のアニメ支援とロリコンを取り締まろうとする青少年健全育成法案は、なんか馬鹿みたいですよね。両立するわけがない。取り締まるなら、『となりのトトロ』のヌードシーンから規制しないといけない」

「まあやたんがいてくれればいい−2004年のアニメのこと」

西島大介、ナイス! 素晴らしい「芸風」!! この調子でどんどんやって欲しい。
なお、「アンシブル通信」の「編集部から」によれば「06年の目標は、もうすこし普通な漫画家になることです。(西)」なんだそうだけど、無理なんじゃないかなぁ… というか、西島大介は無理して「普通の漫画家」になる必要はないと思うぞ!



≪追記≫

12月19日
クラスメートが偶然「トリポッド」を読んでて、サインして欲しい、とのことで、バスに乗って親戚のユウちゃん(高2)の家へ行き、色紙にサイン。ユウちゃんいわく「大ちゃんの絵なんか知ってるって、超ありえなくない?なんかさぁ、ジャンプとかマガジンとかに描くようになりなよ」だって。が……がんばります。

…頑張らないでほしい。