超漢字Vの勧め

超漢字V

超漢字V

超漢字Vが先月末に発売されました。早速入手して何日か使用してみたので、そのレポートなど…

はじめに
超漢字とは世を忍ぶ仮の名前で本名はBTRONといいます。
氏素性を問えば実はれっきとした日本の国産OSです。その波乱に富んだ経歴についてはWikipediaの解説等をご参照下さい。
この由緒正しい超漢字が、このたび、OSとしての身分を捨てて、実質的に一アプリケーションとしてウィンドウズ帝国の傘下に下ることになりました。*1
小規模といえどもかつては一国一城の主として自ら事業を営んでいた人物が志半ばにして自らの道を貫くことを諦め大企業に宮仕えを始めた様を見るようで、涙を禁じ得ません。かつての商売敵ゲイツ氏に顎の先でこき使われるその胸中を察するに熱いものが込み上げてきます… んん、待てよ、論理的に考えると、アプリケーションがOSを手足として使ってるんだから、この関係は逆かな?
1.その特徴
htmlのようなハイパーリンクを含むドキュメント(文書、画像、表計算シート等々)が簡単に作れます。
製品名から分かるように販売者サイドは18万を超える字や記号が使える*2多漢字・多文字システムとして売り込みたいようですが、少なくとも自分にとって、このOSの魅力の本質はハイパーリンク機能にあります。

超漢字でのハイパーリンクの作り方は文字通り超簡単。リンク先のファイルを示すアイコンをマウスで摘んできて好きなところに置いてやればそれで完成。htmlのように面倒な構文を延々と書き連ねたりする必要がありません。ウィンドウズで言えば「ショートカット」を置いておくような感じ。でも、超漢字の「ショートカット」はウィンドウズの「ショートカット」よりずっと便利なのです。*3
2.超漢字の「ショートカット」はここが違う
イ)何処にでも置ける。
ロ)リンク先のファイルの場所を変えてもリンクが切れない。
ハ)リンク先のファイルの名前を変えてもリンクが切れない。
ニ)形状を自由に変えられる。

イ)まず何処にでも置けるということについて。
ウィンドウズのショートカットは基本的にフォルダの中にしか置けません。これがワープロの文章の中に置けたら便利なのになぁ、と思ったことがありませんか? 超漢字ならもちろんそれが出来るのですが、それだけではありません。図形や画像データー(たとえば写真)の上にも「ショートカット」が直接置けます。

実はこれの意味するところはとても重大でパソコンに於けるファイル管理システムに天地がひっくり返るほどの革命をもたらすのですが、その点についてはまた改めて。

ロ)次にリンク先のファイルの場所を移動しても、ウィンドウズのショートカットと違って、リンクは切れません。正確に言うと超漢字のシステム上ではファイルの位置は固定されていて、場所の移動という観念自体が当てはまらないのですが、とにかく表面上はリンク先のファイルの場所を何処に移動しても*4リンクが切れないように見えるのです。

ハ)更にリンク先のファイルの名称を変えてもリンクが切れないということ。超漢字ではOS自身が自動的にファイルにIDを割り振って管理しています。ファイル名はあくまでユーザーが使うものなのでどんな名称にしてもOSの動きそのものには影響しないのです。同じ名前のファイルがあっても構いません。

ニ)最後に形状が自由に変えられるという点について。
「ショートカット」の形は基本的に長方形ですが、その縦横の比率と大きさと色が自由に変えられます。更にリンク先のファイルの内容の一部を「ショートカット」の中に直接表示させることも出来ます。形を整えて文章の中に埋め込めばhtml文書の中に埋め込まれたリンクのような見かけにすることも出来ます。
或いは、もっと大きな形にして、文章中にカードのように並べることも可能です。これを発展させてゆくとアイデアプロセッサーみたいな使い方も出来ますね。その効果たるや絶大なものになるのではないかと予想されますが、まだそこまで使い込んでいないので、確かなことは言えません。でも、多分、そこら辺が超漢字を使う最大の醍醐味になるんじゃないかなぁ…
それから画像データーに表題のように貼付けて、そこからリンクを開くと説明文が現れるというような使い方も出来ます。
文章中に表計算シートやグラフを簡単にレイアウトすることもできますが、これは、まあ、ウィンドウズでも可能ですね。
とにかく形状が変えられることによって「ショートカット」の使い勝手は飛躍的に向上します。これをどう使うかはあなたの工夫次第です。

どうです?
ものすごく使えそうな気がしてきませんか、このハイパーリンク機能?

今日のところは、以上、超漢字そのものの紹介のみ。
実際に使ってみての使用レポートは明日以降。

*1:前回のヴァージョンまでは単体のOSとして販売していましたが、今回の超漢字Vは本来OSであるものをエミュレーターVMware)を咬ませることによってウィンドウズ上で動かす仕様になりました。結果、超漢字は表面的には数あるウィンドウズのアプリケーションの一つとして動作しているように見えます。

*2:つまり「森鴎外」や「内田百けん」が正しい文字で表示できて、フランス語やロシア語も一緒に使える

*3:超漢字の世界では「ファイル」を「実身」、「ショートカット」を「仮身」と呼びます。しかし、本稿の目的は超漢字に馴染みのない人たちに対する解説ですので、そういった人たちにとってより馴染みやすい「ファイル」と「ショートカット」ということばを敢えて使用します。以下同様。

*4:正確に言えばファイルの表示位置を何処に変えても