「剰余」「市場」そして「恐慌」

共同体の秩序の同一性が維持されるためには、生産したものがすべて消費されることが理想だ。一部の人だけに富が偏在すると、その分配をめぐって紛争が発生し、共同体の秩序を乱すので、こうした剰余を排出するしくみを人類は構築してきた。

しかし産業革命以後の資本主義は、爆発的なスピードで剰余を作り出し、不平等を生み出し、秩序を壊し始めた。その剰余(利潤)を社会に還元するしくみが市場なのだが、剰余はしばしば市場で処理できる限度を超えて蓄積されるので、それを定期的に破壊するシステムが必要になった。それが恐慌であり、戦争である――というバタイユの「普遍経済学」は、新興国の過剰貯蓄を蕩尽した世界経済危機をうまく説明しているようにみえる。

そうか、今回の「世界恐慌」の「意味」は新興国に蓄積された富の「不均衡」を解消し世界に「均衡」を回復することだったのか!