テリー・ビッスン「ふたりジャネット」

ふたりジャネット (奇想コレクション)

ふたりジャネット (奇想コレクション)

一年以上前に出版された本を今頃読んだ。良かった。特に「熊が火を発見する」。…SFマガジンで読んだときには「奇妙な味」系の「ユーモア小説」だと思いこんでいたのだけど、今回改めて読んでみたら全然違う。「熊が火を発見する」話であることは確かだが、それと同時に「母の死」の話だった。抑えた語り口の皮一枚下には激しい情念が灼熱のマグマのようにドロドロと蠢いている。それは「怒り」だと自分は理解した。