文学

J・G・バラードの秘密

三日前にアマゾンに注文した洋書がもう届いてしまった。日本国内で在庫していたらしい。 The Complete Stories of J. G. Ballard作者: J. G. Ballard,Martin Amis出版社/メーカー: W W Norton & Co Inc発売日: 2009/09/21メディア: ハードカバー購入: 1人 ク…

ジャングルの国のアリス

ジャングルの国のアリス作者: メアリー・ヘイスティングズブラッドリー,Mary Hastings Bradley,宮坂宏美出版社/メーカー: 未知谷発売日: 2002/12メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (11件) を見る 買ったまま長いこと積読にしておいた本を…

タレブ『ブラック・スワン』

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2009/06/19メディア: ハードカバー購入: 31人 クリック: 540回この商品を含むブログ (215件) を見る ビジネス書又は社会科学書…

J・G・バラードはSFの王道

そう、柳下さんは大胆に言い放ったのです。「バラードこそがSFの王道ではないか」と。 翻訳家の増田まもると柳下毅一郎の対談。 対談を実際に聞いたわけではないのだけれど、このレポートを読む限りではとても充実した内容だったみたい。 特に柳下毅一郎のバ…

J・G・バラード死去

大森望のmixiで知った。 柳下毅一郎によれば、日曜日の朝、長く患っていた前立腺癌のために78歳で亡くなったという。 20世紀最大の作家を失ってしまった悲しみはどうしようもない。 本当にそうだ。 個人的にはグレン・グールドが死んだとき以来の喪失感。 Ba…

村上春樹

家の中に転がっていた文藝春秋を何気なくパラパラめくっていたら村上春樹があまりにも鋭いことを書いていたので感心してしまった。 小説家が正しいことばかり言っていると、次第に言葉が力を失い、物語が枯れていきます。『文藝春秋』2009年4月号p.158『僕は…

川村二郎『河内幻視行』

久しぶりに『アースダイバー』系の話題を…今から30年ほど前のある夏の日、奈良の明日香村から近鉄南大阪線に乗って大阪の天王寺に抜けた。電車は奈良盆地の南部から生駒山地と金剛山地の間隙を通り抜けて大阪平野に出てくる。当時の自分はそうした土地の背後…

「ブレードランナー」ファイナル・カット

映画観て唖然とした。ただただびっくりした。 何が? ブレラン。 いまさらのブレランだし、ファイナル・カットとか言っても、まあ完全版とかディレクターズカットとかいろいろ観てきましたし、驚きはもはやないだろう、何よりこういうパッケージの発売にとも…

夏の出来事その6 世界SF大会@横浜

そういえば明日から「世界SF大会」(ワールドコン)がみなとみらいで始まる。 「すべてのオタク文化がこの大会から生まれたといっても過言ではない」(同実行委員会) …すごい鼻息だが、まるっきりハッタリだとも言えない面があるかも。 自分が今でも「パソ…

佐藤亜紀『ミノタウロス』

ミノタウロス作者: 佐藤亜紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/05/11メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 110回この商品を含むブログ (133件) を見る 喧嘩がしたいならもう少し喧嘩上手になって欲しい。 作者がブログにいきなり意味不明なことを書いてい…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』

コトの起こりはこちらですね。 10年前、東浩紀さんに代表される「セカイ系」的な感性は、たしかに新しい「ニュータイプ」だったかもしれません。しかし、あれから10年経った今、「セカイ系」はむしろ時代についていけない「オールドタイプ」の感性の代名詞に…

東浩紀&桜坂洋「ギートステイト」

私はふと日本に帰る気になった。なにがきっかけだったのか、いまはよく思い出せない。なにか、日本についての情けないニュースだったことは確かだ。それは、沖縄州では富裕層の8割が中国人で、日本人は彼らの家事労働者として雇われているというニュースだ…

古橋秀之「冬の巨人」

[rakuten:book:12036029:detail] もう出ないと思っていた本が今頃になって急に出た。急に出たせいかどうか、今現在、アマゾンにはリストされていない。もう、本屋の店頭には並んでいるというのに… (とりあえず楽天へのリンクを張っておく。) 果てしない吹…

森博嗣『すべてがFになる』

すべてがFになる (講談社文庫)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/12/11メディア: 文庫購入: 16人 クリック: 241回この商品を含むブログ (588件) を見る 今頃初めて読んだんですけれどね… 今まで、誰も教えてくれなかったんだな… …それは多分…

森見登美彦「きつねのはなし」

きつねのはなし作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/10/28メディア: 単行本購入: 21人 クリック: 602回この商品を含むブログ (280件) を見る 面白かった。 「太陽の塔」でファンタジーノベル大賞を受賞した森見登美彦(id:Tomio)の三冊目…

平野啓一郎、6年目の反論

平野啓一郎の芥川賞受賞がきっかけとなって作家佐藤亜紀と新潮社の間に深刻な対立が持ち上がった件については既に書いたことがあるが、関係者の一人である平野啓一郎が最近になって「反論」とも言うべき文章を自分のブログに公開したので、触れておきたい。…

ギブスン、岡崎京子、そして田口犬男?

ネット漂流中に偶然見付けた岡崎京子とウィリアム・ギブスンの話題。(本当は田口犬男という詩人の話なんですけど…) (引用者注:前段省略) 岡崎京子って漫画家がおりまして。 結構わたしすきなんですけれども。 このかた交通事故でいま闘病なさってて、お…

西尾維新、執筆速度の驚異

ザレゴトディクショナル 戯言シリーズ用語辞典 (講談社ノベルス)作者: 西尾維新,竹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/06/07メディア: 新書購入: 4人 クリック: 52回この商品を含むブログ (186件) を見る 一日に原稿用紙にして100枚から200枚書くと…

佐藤亜紀のトラウマ

えー、某出版社の名前を書かなければならなくなると、無意識の抑圧で別な出版社の名前を書いてしまう大蟻食です。思ったより深刻にびょーきだな。今朝はそこの、名前がどうしても思い出せない雑誌を読んでいました。蓮實先生が書いておられたからです。 平野…

コミックファウスト読了

コミックファウスト (講談社 Mook)作者: 講談社出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/06/22メディア: ムック クリック: 6回この商品を含むブログ (69件) を見る 正直言ってさほど面白くなかった。何か新しいことをやろうという意欲は感じるが、何を目指すべ…

森見登美彦「太陽の塔」「四畳半神話体系」

太陽の塔 (新潮文庫)作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/06/01メディア: 文庫購入: 74人 クリック: 444回この商品を含むブログ (731件) を見る 四畳半神話大系作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2004/12メディア: 単行本…

桜坂洋「ALL YOU NEED IS KILL」

All You Need Is Kill (スーパーダッシュ文庫)作者: 桜坂洋,安倍吉俊出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/12/18メディア: 文庫購入: 31人 クリック: 414回この商品を含むブログ (427件) を見る ライトノベルのつもりで手に取ったら完全にSFだったのでビッ…

「ArT RANDOM 71 Robert Longo」京都書院

「平坦な戦場でぼくらが生き延びること」といえば岡崎京子の代表作「リバーズ・エッジ」に引用されたウィリアム・ギブスンの詩の一節で、岡崎ファンなら誰でも知ってると断言してもいいくらい有名ですね。椹木野衣も自分の「岡崎京子論」の題名を、そのまま…

古橋秀之「斬魔大聖デモンベイン 機神胎動」

斬魔大聖デモンベイン―機神胎動 (角川スニーカー文庫)作者: 古橋秀之,Niθ,鋼屋ジン出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2004/07メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 23回この商品を含むブログ (66件) を見る エロゲーのノヴェライゼーションのそのまた外伝。原…

Sweet Blue Age

Sweet Blue Age作者: 有川浩,角田光代,坂木司,桜庭一樹,日向蓬,森見登美彦,三羽省吾出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/02/21メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 603回この商品を含むブログ (109件) を見る 写真家蜷川実花の作品をカバーにあしらった…

古橋秀之「ブラックロッド」無事入手

古橋秀之の「ケイオス・ヘキサ三部作」が絶版になるっぽい件、古本で注文していた「ブラックロッド」が無事到着。ハードカバーの初版だが10年前の本とは思えないくらいキレイ。本当に古本? 陽の射さない倉庫の片隅に十年間ずっと埋もれていた雰囲気。やっ…

古橋秀之「ブラッドジャケット」「ブライトライツ・ホーリーランド」無事入手

「ケイオス・ヘキサ三部作」が絶版っぽいので速攻で注文した件、bk1から「ブラッドジャケット」「ブライトライツ・ホーリーランド」の二冊が無事到着。「ブラックロッド」はもはや古本で手に入れるしかあるまい… 私は「コレクター」ではないつもりだが本当に…

古橋秀之「ケイオス・ヘキサ三部作」絶版か?!

ブラックロッド (電撃文庫)作者: 古橋秀之,雨宮慶太出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 1997/04メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 178回この商品を含むブログ (74件) を見るブラッドジャケット (電撃文庫 (0176))作者: 古橋秀之,伊藤義則出版社/メー…

ル・グウィン「ゲド戦記」旧三部作総括

現行の全六巻ではなく旧三部作に該当する三冊だけに限定してまとめて振り返ってみると、第一巻の「影との戦い」は文句なし。「魔法」を「テクノロジー(科学技術)」と同じものとして描いてみせたその着想の妙に感服。それに荒々しくて傲慢なゲドのキャラク…

ル・グウィン「さいはての島へ」

さいはての島へ―ゲド戦記 3作者: アーシュラ・K.ル・グウィン,ゲイル・ギャラティ,Ursula K. Le Guin,清水真砂子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1977/08/30メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (81件) を見る 「影との戦い」、「こわれた…