レーニンはマウンテンバイク派サイクリスト

今週は天気が悪いのであまり自転車に乗れない。
仕方がないので家に籠もってスターリンの伝記Stalin: A Biographyを読んでいたのだが、そのうち脇道に逸れてレーニンの伝記レーニン (上)を読み始め、更にそこから脇道に逸れて中沢新一の「はじまりのレーン」はじまりのレーニン (岩波現代文庫)を読み始めるという始末で、いつになったら肝心のスターリンの伝記を読み終えられるのか全く見通しが立たない状況に陥る。
しかし、寄り道ばっかりしているおかげで、レーニンが相当のサイクリング愛好家であったことを発見。

レーニンは何年にもわたってサイクリングに熱中していた。週末にはよく、ナジェージダ・コンスタンチノヴァ(妻)とマリア・イリニーチナ(妹)を山の自転車乗りにジュネーヴから連れ出していった。レーニンは三人の中で一番体調がよかった。二人の女性が疲れると、彼は代わるがわるどちらかの脇で自転車をこいで、女性たちを騙しだまし走らせていった。アルプス山脈でのサイクリングは、観光客、特にイギリス人、ドイツ人、フランス人の間でだんだんに流行しつつあった。ベデカー旅行案内書のスイス版によると、ドイツ人とフランス人は傾斜が急になってくると楽にかまえて、馬をやとい、その後に自転車をつないで、馬の力でゆっくりと登ってゆくのが習慣であった。しかしイギリス人はこのような女々しい方法には見向きもしなかった。レーニンは普段はドイツ好きであったが、このことではイギリス人の側についたようであった。休暇は目一杯頑張らなければ休暇ではなかった。ナジェージダ・コンスタンチノヴァ(妻)とマリア・イリニーチナ(妹)が恨めしそうに記録に残しているように、他人にも頑張らせると一層よい休暇になった。

というわけで、一瞬親しみを覚えたのもつかの間、同じサイクリング愛好家でも実は相当にタイプが違うことが判明。
向こうが(今で言えば)マウンテンバイク乗りなのに対して、こちらは車輪の小さな折りたたみ自転車(ブロンプトン)乗り。
向こうが山道派なら、こちらは街乗り派。
あちらが坂を登り切って征服することに喜びを覚えるのであれば、こちらは事前に標高データーをパソコンに放り込んで綿密にコース設定をし如何に急な坂を迂回することに成功したかに喜びを覚える上に、疲れたら自転車を畳んで電車に乗って帰ってきてしまう…
不撓不屈の粘りでロシア革命をまさかの成功に導いてしまう人間と、こんな日本はもうイヤだとふさぎ込んでばかりいる人間とでは、自転車の乗り方からしてこんなにも違うものなのかと妙に納得。
尚、レーニンはパリに住んでいたときも自転車を乗り回していて、自転車泥棒にあったり*1、自動車にはねられたり*2したことがあるそうだ。街乗りも危険がいっぱいだ。自分も気をつけよう。

*1:自分も実は経験がある。

*2:まだ無い、幸いにも。