バカなのはお前だ、養老孟司!

家の中に転がっていた月遅れの「文藝春秋」*1をめくっていたら養老孟司がまたバカなことを書いていた*2ので憤慨する。曰く、

…(略)…日本の知識人たちは、一般に、世間の非合理な価値観を無視して「日本に思想はない」などと批判し続けてきた。その代表が丸山眞男だろう。…(略)…しかし、実際のところ「思想はない」わけではなく、たとえば般若心経などを読めば…(略)…

って、あなた、般若心経サンスクリット語の原文を中国語に訳したものでしょう? 言うなら「インドの思想」で、少なくとも「日本の思想」なんかじゃないでしょう?
バカの壁バカの壁 (新潮新書)でもソシュールいうところの「意味するもの」と「意味されるもの」の概念を全く理解していないことを曝していた養老孟司だが、またやってるよという感じ。


日中国交回復のとき*3、来日した中国の要人を前に日本のある政治家が「我が国では昔から『朋有り遠方より来たる…』*4といいまして…」と演説して相手の目を白黒させたという話を聞いたことがある。*5これはこれで情けない話だが、養老孟司も、このバカな政治家と同じレベルだよな…


出自が純正SFオタクである私は、ジーン・ウルフの「ケルベロス第五の首」ケルベロス第五の首 (未来の文学)を思い出してしまう。あれに、完璧に人間の模倣をした結果、自分が人間だと思いこんでしまった「原住民(異星人)」が出てくるでしょう?*6 翻訳者の柳下毅一郎に言わせれば「模倣しかできないサント・アンヌの原住民もまた、自分がなぜ人間になれないのかは決して分からぬままだろう」ということになるんだけど、それってそのまま「日本人」に当てはまるんじゃないかという気がしてきて気が滅入ってくる…


正しいのは丸山眞男なの。(©水倉りすか)
バブル期以降の日本人のバカな行動の数々は(戦時中の馬鹿げた行動の数々とともに)改めて、丸山眞男が正しかったということを裏付けているの。
模倣すべきモデルを失った途端、日本の経済と社会が崩壊していったのは、その一見「西欧近代市民社会」風の外見が単なる「見せかけ」で、それを内面から支える「原理・原則・思想」が欠落していたということを意味しているの。
分かったか、養老孟司
分かったら、「ケルベロス第五の首」でも読んで、「ああ、これはオレのことじゃないか…」と涙すればいいんだ!  (…何だか「副島隆彦調」になってしまったなぁ…orz)

*1:家人が愛読している

*2:「文藝春秋」2006年1月号養老孟司司馬遼太郎さんの予言」

*3:1970年前後の話

*4:論語」です。念のため。中国のものです。更に念のため。

*5:どこかで読んだ話だと思うが、出典は思い出せない。

*6:ああ、また一般人には通じない「例」を挙げてしまった。