Q1.岡崎京子って少女マンガ家なんですか?

A.否。
岡崎作品は「マーケット・セグメント」上の「少女マンガ」の範疇には属していません。
年齢性別を超えて、広い層に訴える何ものかを持った作家です。
論より証拠、かつて(2001年)実施した読者層調査をご覧下さい。





集計グラフ


読者層は十代後半から三十代前半を中心に、下は中学生から上は五十代以上まで、広範囲に広がっています。また、男女差は殆ど見られません。




Q.でも、岡崎は24年組の正当な後継者だって大塚英志が言ってますよ? 例えば「「おたく」の精神史」(講談社現代新書2004.02)の p.202-p.204「二四年組の正当な後継者」とか…


A.それでも否。

「岡崎は、性というテーマに取り組んだという点で、24年組の正当な後継者である」というのが大塚英志の論旨です。
が、その「性」というテーマは、その後の歴史の中で、「少女マンガ」という商業上のジャンルから切り捨てられていったのだと大塚自身が明確に述べています。つまり、大塚英志から見ても、岡崎京子が24年組から受け継いだものは「少女マンガ」から「はみ出した部分」だったということになります。


もっとも「性」というものが大塚英志が言うほど岡崎作品の中で強調されるべき要素であるとは自分は思えないのですけれども… というか、24年組の言う「性」と岡崎京子の言う「性」は何かニュアンスの違うもののような… 24年組は「性」という「幻想」そのものに苦しめられていたのだけれど、岡崎京子は「性」という「幻想」が破綻したあとの「荒野」に呆然と佇んでいるような印象があります。


いずれにせよ、大島弓子萩尾望都といった24年組を代表する偉大なマンガ家たちが「ジャンル」からはみ出した存在であったように、岡崎京子も「ジャンル」からはみ出した存在なのです。