日本の「近代化」は退行中?

最大の問題は、不良債権処理の過程で大蔵省が銀行に債務超過状態を隠蔽するよう指導した「官製粉飾決算」を、検察が見逃したことだ。特に日債銀救済のために金融機関34社から「奉加帳方式」で2107億円も集めた(すべて損失になった)事件について、検察は銀行局の幹部に事情聴取したが、立件を見送った。

その一方で、ライブドア事件では、粉飾決算ホリエモンが刑務所送りにされようとしているわけで…
何度も繰り返し言うが、ホリエモンは嫌いだし、彼を弁護したいとは思わない。けれども検察のやっていることはめちゃくちゃ。相手によって法の運用を変えるなんて、一企業の粉飾決算どころではない深刻な打撃を社会に与えることになるはずなのに…

官庁間の取引で犯罪がつくられたり闇に葬られたりする現実を見ると、日本が本来の意味で「法治国家」になるには、まだ時間がかかりそうだ。

というのは楽観的すぎるのではないかという気がする。
検察を含め、近頃の日本人を見ていると、自分たちの社会の色々な「西欧的制度」が何のために存在しているのか、良く理解できていないように見えてしまう。
江戸時代を断ち切って、こうしたものを自ら輸入した明治の人々の方が「制度」の「意味」というものをもっとよく理解していたような気がする。少なくとも今の日本人より「意識的」であったんじゃないかなぁ…


「近代」はもともと日本の中から生まれたものではない。
西洋の「発明品」を無理矢理移植したものだ。欧米に呑み込まれないための一種の「擬態」だよね。表面を真似しただけで、中身は殆ど変わっていない。
生きるか死ぬかの時にそんな非常手段に訴えるのは仕方がないことだと思う。
でも、危機の時代が遠離るにつれて、日本人は自分たちが「擬態」しているのだということを忘れ始め、無防備に「土人」の本性をさらけ出し始めたんじゃないかな… するとまた「危機」がやって来たりして…
というか、バブル期以降の日本は将にずっとその「危機」のさなかにあるのかもしれないけど…