ラーメン屋とマックの戦い

古典文化が純粋で、現代文化が混然なのではない。すべての文化現象は異文化要素をフュージョンしながら発展してきたのだ。ただ古典の場合は、長い時間の淘汰を生き延び、かつて異文化フュージョンで生まれた履歴が忘却されているだけなのだ。

日本のマンガやアニメが何故海外でウケているのかという話題を扱った日経ビジネス・オンラインの記事。最近では取り上げられることの多いありふれたテーマだけれど、こんな切り口で論じた人はちょっと珍しいのではないかと思ってメモ。
オタクは得てしてナショナリストだけれど、その実、アニメやマンガは根源的には外来文化に他ならないと言うことは東浩紀なんかも指摘している。しかしそのことにどのような「意味」があるのかまでは言及していなかったような気がする。

米国に長く住んだことのある日本人なら皆感じることだが、マクドナルドの成功は米国の食文化の貧困さと表裏一体であり、その世界への普及は米国ジャンクフードのグローバル化にほかならない。

というのには苦い笑いが込み上げてくるが、これは「市場経済」が「文化」に何をもたらすのかという点で重要な指摘であると思う。これこそがウィリアム・ギブスン岡崎京子が言うとことの「平坦な戦場」と化した世界に他ならない。
市場経済」は「差異」を食い尽くす。「日本の」オタク文化が世界でウケてるぞ、と浮かれ騒いでいるうちにアニメもマンガも「市場」に食い尽くされることになるだろう。そして後に残るのは例によって例の如く「平坦な戦場」だけだったりして…