「Quicktionary Ⅱ」は使える!

クイックショナリーII ジーニアス

クイックショナリーII ジーニアス

スキャナー付の電子辞書です。なぞるだけでジーニアス英和辞典第三版ジーニアス英和辞典が引ける。誰もが思いつきそうなコンセプトだけど、実際にはあまりない。
最初、コイツは「緑のヒヨコ」だろうな、と思っていました。
「緑のヒヨコ」というのはあれですね、例のお祭りの日に夜店で売ってる「緑のヒヨコ」のことですよ。

一目見て「おお、スゲェ!!!」と私は思う。こんな生き物が本当にいるはずがない。しかし今この目の前にいるものは何だ! イヤ、本当のことを言うと、かなり怪しい状況であることは、心の底では分かってはいるのだ。でも、それを認めたくない。私は「緑のヒヨコ」が本当にいて欲しい。「緑のヒヨコ」こそが私の願望するものなのだ。だから、自分でもバカなことをしているなと思いながら、ついついその緑のヒヨコを買って家に持ち帰ってしまう… すると、当然のように、翌朝には冷たい死骸になっていたり、生き延びたとしても、二三日するうちに絵の具が剥げて普通のヒヨコに戻っていたりするのだけど…

ところがこのヒヨコ、翌日になっても、いや、何日経っても死ななかったのですよ。しかもちゃんと緑のまま… スゴイじゃありませんか!
結論から言うとこれを導入したおかげで英語の本を読むスピードが倍以上になりました。本当です。何でもっと早く試してみなかったんだろうと後悔しています。
ただし、この製品は「正しい使い方」をしなくてはその効果を十分に発揮しません。「夜明け前」というブログに体験談がアップされていますが、その内容を自分なりにアレンジしてみると次の通り。

普通の辞書の代用にはならない
あくまで英語の本をどんどん読んでゆく上で補助ツールとして使うべきです。普通の英語辞書のようにある一つの単語や慣用句についてじっくり調べたりするには向きません。従ってこれはあくまで二台目の電子辞書として使いましょう。
「簡易表示」に設定
単語の語義だけが表示される「簡易表示」に設定しておきます。英文速読という目的上、発音記号、例文、類語、別綴りなどは表示させる必要はありません。
「自動発音」はオンに設定
単語を読み取って語義が画面に表示された時点で自動的に発音させるモードにしておきます。余り音質は良くないのですが、とにかくこのモードに設定しておきます。その意味は後で説明します。
自動電源オフは長めに設定しておく
いよいよこれからクイックショナリーを片手に握りしめて英文に取り組むわけですが、分からない単語に出会っていざスキャンしようとしたときに電源がオフになっていては時間のロスが生じてしまいます。ここは一つプライドを捨てて、自動的に電源が切れる時間は長めに設定しておきましょう。
スキャンにはコツがある
以下のことを守って正しく使えば読み取り精度は問題ないレベルです。
・出来るだけ直角に立てる
・出来るだけ等速でなぞる
・なぞる間、出来るだけ紙面との角度を変えない
・なぞる文書は出来るだけ平らにする
・直射日光は避ける
・対象の単語の上を正しくなぞる
特に最後の「対象の単語の上を正しくなぞる」のは意外と難しいのです。ついつい上下にずれたり斜めになぞってしまったりします。練習が必要です。慣れるまでは「夜明け前」の体験談のように単語を右から左に逆になぞってみるのも上手い手です。そうなんですよ、単語を逆になぞってもちゃんと引けるんです。それだけのことをとってみてもこれが真面目に開発された製品であることが分かりますよね?
英文から目を離すな
ここが一番肝心な点なのですが、分からない単語が出てきたらすかさずスキャンしますよね。で、スキャンした後、そのまま英文を読み続けた方がいいのです。決して、視線をクイックショナリーの表示画面に移して語義が表示されるのを待っていたりしてはいけません。スキャンしてから語義が表示されるまでだいたい二〜三秒ぐらいのものですが、それでもその時間を無駄にしてはいけません。英文から目を逸らさずに、前後の文脈からその意味を推量したり、どんどん先へ読んでゆくか、その両方を一度にやって行く。それが英文速読の秘訣です。で、語義が表示されてクイックショナリーがその発音を自動的に発声した時点で初めて視線をクイックショナリーに移して表示された語義を読むのです。「自動発音」をオンにしておいたことがここで初めて意味を発揮します。
後はもうこの作業を繰り返しながら延々とひたすらに英文を読み続けるだけです。「オレってこんなに英語が早く読めたんだっけか?」と驚きましたよ、少なくとも私は…


最後に一言、収録辞書がジーニアスである件について。
英文をどんどん読んでゆくのであれば普通は収録語数が飛び抜けて多いリーダーズリーダーズ英和辞典とかリーダーズプラスリーダーズ・プラスを使うのが常識ですよね。私もその点は気になっていたのですけれど、実際に使ってみたらジーニアスでも十分でした。普段はリーダーズリーダーズプラスが入った電子辞書を使ってたんですけどね、それが自分の見栄だったことを思い知らされたッスよ… orz


追記
尚、ジーニアスでも十分というのはあくまでも自分の場合です。出来ることなら収録辞書はリーダーズ系の方がいいですよね、速読用補助ツールとして割り切って使うのであれば…


追記2
おそらくいちいち辞書を引かずにペーパーバックがすいすい読める域に達している人にとってはこの製品は無用の長物でしょう。高校レベルの文法はまずまず身につけているが語彙が不足していてペーパーバックがすいすいとは読めない、どうしても辞書と首っ引きになるのでついつい面倒になって一冊を読み通せないという人にとってちょうどいい道具なのではないかと思います。この道具を使って分からない単語を手当たり次第に引きながら速読・多読を続けてゆくと語彙は確実に増えてゆきます。「夜明け前」でも指摘されているように、辞書を引かないでただ単に速読・多読しているだけでは、英語に慣れることは出来ても、語彙を増やすことは出来ません。その意味では読むスピードを余り落とさずに辞書が引けるこの製品は英語力増強のための素晴らしい道具です。


追記3
この製品のメリットは辞書を引く手間を劇的に減少させたということに尽きるようです。確かに辞書も冊子から電子辞書になることによって随分…というよりも劇的に引き勝手が良くなったのですが、それでも初めて見る単語をスペルを確かめながらキーボードに打ち込んでゆくという作業は結構負担になるのです。今までずいぶんと面倒なことをやっていたんだな、これじゃ天国と地獄だぜ、というのがこの製品を使ってみての実感でした。…何だかべた褒めしてますね、自分。いや、決してメーカーの回し者ではありません。ただ、使ってみてちょっと感動しているだけなんです。


追記4
誉めてばかりいるのも何なので、一つ欠点を指摘しておきます。一応発音機能は付いていますが、音質は余り良くないし、多分ネイティブの発音ではなく、機械音声なんじゃないかなと思います。ただ上にも書いたように自動発声にセットしておけば語義が表示されたことを知らせるアラーム音として使えて、これはこれでなくてはならない重要な機能です。


追記5
ちなみにこの製品、「緑のヒヨコ」というか、いかにもキワモノという印象にもかかわらず、そこら辺の町工場で造られたものではなく(ごめんなさい、町工場の人)、イスラエルの企業によって開発されたものだそうです。
WizCom(イスラエルの開発元)
Japan21株式会社(日本の輸入代理店)


追記6
イスラエル製だというだけあって、壊してしまうと修理するのが大変みたいです。て言うか、イスラエルまでの輸送コストを考慮すると修理は実質的に不可能。それでも格安で代品交換してくれるみたいですが、やっぱり大切に使わないといけないッスね。
http://d.hatena.ne.jp/hj3s-kzu/20070323
ちなみに、この方も英文を読むスピードが劇的に向上したと言ってますよ、やっぱりね…