Q5.岡崎京子って引用作家なんですか?

A.自分的には否。
他人の作品への言及や引用を作中に大量にちりばめたことから岡崎作品においては「引用」が「作品の本質」に関わる非常に重要な要素なのかもしれないという見方をする人たちがいます。言うならば岡崎京子は「コラージュ作家」だという考え方ですね。
大量の引用や言及がちりばめられた作品が現に存在している以上はそうした見方を否定することは出来ません。というか、そういう見解を持つことも自由ですね。


が、しかし、皆さんからの指摘を集成して「引用・言及事例集」を編集してみたものの、正直なところを打ち明ければ、「引用・言及」が「岡崎作品の本質」に不可欠の要素として関わっているという感触を、少なくとも自分は、得ることが出来ませんでした。
結局のところ、岡崎作品における「引用・言及」は、

  • 作品の時代性を強調するために「時代のアイテム」に張られた「リンク」(©星野)、であったり、
  • 作者と同じ嗜好を共有する読者の共感を誘発するために仕掛けられた「信号」、であったりするわけで、
作品の「本質」というよりは「技法」の範疇に属するものなのではないでしょうか?