滅びた国の旅

地図を眺めていたら武蔵村山市立川市の境界に奇妙な空白地帯を見つけた。

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南北に1.5キロ、東西方向に1キロ強。なかなか広大。
何かの跡地のように見える。
この辺りで廃止された大きな施設といえば米軍の立川基地ぐらいしか思い当たらないが、跡地は昭和記念公園(という名前の昭和天皇の墓地)になっているはずだ。実は他にも立川基地の飛び地があってそこだけ今でも放置されているのだろうか?
15年昔の古い地図を開いてみてすぐに疑問氷解。何のことはない。日産自動車の村山工場の跡地だった。
2004年に完全閉鎖されてから既に5年経っているが、いまだにただの空き地として放置されているらしい。周囲は住宅や工場が建て込んでいるのにここだけぽっかりと穴が空いたようで異様な光景だ。
これはやっぱり見に行くしかないだろう。
というわけで、例によって例の如く愛車ブロンプトン(折りたたみ自転車)を駈って旅に出た。
コースは以下の通り。

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明大前の駅前を出発して最初は京王線に沿って進み、環八を過ぎた辺りから今度は玉川上水に沿ってひたすらに走る。目的地にたどり着いたら周囲を一回りしてから昭和記念公園の脇を通って立川駅へ。駅前で自転車をたたんであとは電車で帰ってくる。走行距離40キロ強。所要時間3時間半。


玉川上水井の頭付近(明大前より約8キロ)
玉川上水その1(三鷹市内)
期せずして玉川上水遡行の旅となった。本当は住宅密集地のど真ん中なのだが玉川上水の周囲だけ樹木が茂って、ちょっと見た目にはまるで山奥にでも来たような感じ。ここは三鷹市内の井の頭二丁目付近。井の頭公園の近く。画面右手に映っているのは我が愛車ブロンプトン。上水は左手のフェンスの向こうを流れている。


玉川上水に架かる橋(明大前より約27キロ)
玉川上水その2(立川市内)
ここはもう立川市内の砂川町付近。砂川町といえば砂川闘争がかつて有名だったけれど、今では知っている人の方が珍しいだろう。50年の月日が流れ去って、闘争の対象となった米軍立川基地そのものが消滅しているし…


日産自動車村山工場跡地(明大前より約30キロ)
日産武蔵村山工場跡
ついにたどり着いた日産自動車村山工場跡地。フェンスの向こうに広がる広大な草地。こちらはまだ5年しか経っていないけれど既に「つわものどもが夢のあと」的貫禄たっぷり。
こんな風景を眺めていると日本はやっぱり滅びかけているんじゃないかなぁと、ついつい思ってしまう。


立川駐屯地(おまけ)(明大前より約38キロ)

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立川駅に向かう途中で見た光景。陸上自衛隊立川駐屯地。ヘリコプターが盛んに離着陸を繰り返していた。
ここも広々としているが村山工場の跡地はこれよりも広い。